大腸ポリープと大腸がんは、どちらも大腸の内側にできる突起物ですが、性質やリスクに大きな違いがあります。
大腸ポリープは粘膜がイボのように盛り上がった良性のもので、通常はそれほど心配する必要はありません。一方で、大腸がんは粘膜から発生する悪性腫瘍で、放置すると命に関わる可能性があります。この記事では、この2つの違いや関係性について、詳しくわかりやすく解説していきます。
目次
■大腸ポリープと大腸がんの見た目の違い
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大腸ポリープ |
大腸がん |
形状 |
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色 |
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大きさ |
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大腸ポリープと大腸がんは、表面の赤みやくぼみの有無などを確認することで診断が可能です。
◎大腸ポリープは
大腸ポリープとは、大腸の内側にできる小さな隆起のことを指します。形は様々で、茎のあるもの(キノコのような形)、茎のないもの、両者の中間の形のものがあります。さらに、ほとんど平らな形のポリープも存在します。
◎大腸がんは
肉眼では赤みを帯びた腫瘍や凹凸として見えます。不規則な形状や色の変化が特徴です。
■大腸ポリープと大腸がんの関係
大腸ポリープは、大きく2つのタイプに分類されます。
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腫瘍性ポリープ:がん化する可能性がある
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非腫瘍性ポリープ:通常はがんになるリスクがほとんどない
大腸ポリープは、時間をかけて徐々に成長していき、ポリープの大きさが1cm、2cmとさらに大きくなるにつれて、がん化するリスクも高くなります。
大腸がんに進行する可能性がある腫瘍性ポリープは、「腺腫」と「鋸歯状病変(SSL)」です。ただし、すべてが大腸がんへ進行するわけではありません。がん化する可能性があるかどうかを完全に見極めることは難しいのが現状です。
◎腺腫
腺腫(せんしゅ)は、大腸内視鏡検査で多く見つかる、腫瘍性ポリープです。ポリープ状の腺腫自体は、特に自覚症状を引き起こすことはありません。
ただし、腫瘍細胞は制御されることなく増殖し、自ら成長していきます。その過程で細胞が異常をきたし、最終的に大腸がんへと進行する可能性があると考えられています。
腺腫を発見し切除することで、将来的な大腸がんの発生やそれによる死亡リスクを大幅に低減できるとされています。
◎鋸歯状病変(SSL:sessile serrated lesion)
SSLは、大腸にできるポリープの一種です。このポリープは粘膜表面がギザギザしている特徴があり、腺腫ポリープとは異なる組織学的特徴を持っていますが、平坦な形状をしていることが多く、一般的な腺腫性ポリープと比べて発見が難しい特徴があります。そのため、注意深い検査が必要となります。
■大腸ポリープと大腸がん、どちらも早期発見が重要
大腸ポリープや大腸がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。大腸ポリープは多くの場合で良性ですが、中には時間の経過とともにがん化するものもあります。予防するためには、毎年の便潜血検査と適時内視鏡検査を受けることが重要です。
内視鏡検査によってポリープの段階で発見し、適切に切除することで、大腸がんの発生リスクを大幅に抑えられます。また、大腸がんであっても早期発見・早期治療によって、健康を守ることが可能です。
当院では、患者さまの負担を軽減するため、苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。気になる症状がある方や、定期検査をご希望の方は、ぜひご相談ください。
大腸内視鏡検査の内容についてはこちらで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。