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糖尿病の食事におすすめのメニューは? ダメなものってある?


前回は、糖尿病治療の全体像や薬物療法について解説しました。


糖尿病と診断されると「好きなものが食べられなくなる」「厳しいカロリー制限がつらそう」といった不安を感じる方は少なくありません。


今回は、毎日の食事におすすめのメニューや、注意が必要な食べ物、そして忙しい現代人の味方であるコンビニの上手な活用法について解説します。


目次

  • ■糖尿病の食事療法とは?カロリー制限だけではない「バランス」の重要性
    • ◎自分に適した「エネルギー量」を知ることから始めよう
    • ◎「何をどれだけ食べるか」食品交換表(食事療法)の考え方
    • ◎糖尿病の食事におすすめのメニューは?献立作りのポイント
    • ◎理想は「一汁三菜」の定食スタイル
    • ◎食物繊維が豊富な食材(野菜・海藻・きのこ)を積極的に
  • ■食べてはいけない「だめなもの」ってあるの?注意すべき食品
    • ◎禁止な食べ物はないが「量と頻度」に注意
    • ◎果物やアルコールとの上手な付き合い方
  • ■忙しい時の味方!コンビニで選ぶ「糖尿病の食事」とは
    • ◎おにぎりやパン単体は避けて「プラス一品」を
    • ◎栄養成分表示の「炭水化物(糖質)」をチェックする習慣
  • ■今日からできる!血糖値を上げにくい「食べ方」の工夫
    • ◎「ベジファースト」で血糖値の急上昇を抑える
    • ◎よく噛んでゆっくり食べることで満腹感を高める
  • ■まとめ:毎日の食事を楽しみながら血糖コントロールを続けよう

■糖尿病の食事療法とは?カロリー制限だけではない「バランス」の重要性


糖尿病の食事療法において、単にカロリーを減らせば良いという考え方は、実は間違いです。


私たちの体は食べたものをエネルギーに変えて活動していますが、糖尿病ではこのエネルギー利用がうまくいかず、血液中に糖が溢れてしまいます。そのため、医師から指示された適正なエネルギー量を守りつつ、必要な栄養素をバランスよく摂ることが治療の基本となります。


◎自分に適した「エネルギー量」を知ることから始めよう

まずは、自分の体格や活動量に見合った「指示エネルギー量」を把握することがスタートラインです。


身長や体重、日頃どのくらい体を動かすかによって、必要なエネルギー量は一人ひとり異なります。主治医や管理栄養士から提示された数値は、合併症を防ぎ、膵臓の負担を減らすための大切な基準です。


この範囲内で食事をすることで、インスリンの働きを助け、健康的な体を維持を目指します。


◎「何をどれだけ食べるか」食品交換表(食事療法)の考え方

カロリーが範囲内なら、お菓子だけで満たしても良いわけではありません。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをまんべんなく摂ることが大切です。そこで役立つのが「食品交換表」という考え方です。


これは食品を栄養ごとのグループに分け、それぞれのグループからバランスよく選ぶためのガイドです。特定の食材だけを食べる偏った食事を避け、主食・主菜・副菜を組み合わせることで、自然と血糖値の変動を緩やかにできます。


◎糖尿病の食事におすすめのメニューは?献立作りのポイント

毎日の食事で血糖値を上げにくくするための献立には、実は日本の伝統的なスタイルが適しています。


◎理想は「一汁三菜」の定食スタイル

糖尿病の食事におすすめなのが、和食の基本である「一汁三菜」の定食スタイルです。


ご飯(主食)、肉や魚(主菜)、野菜の小鉢(副菜)、そして汁物を揃えることで、栄養バランスが自然と整います。丼ものや麺類などの単品メニューは炭水化物に偏りやすく、血糖値を急上昇させる原因になります。


定食のように品数を増やすことで、早食いの防止にもなり、満足感を得ながら血糖コントロールが可能になるのです。


◎食物繊維が豊富な食材(野菜・海藻・きのこ)を積極的に

献立を作る際に意識して取り入れたいのが、野菜、海藻、きのこ類です。


これらに豊富に含まれる食物繊維は、腸内での糖の吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値上昇を抑える強力な味方です。また、噛み応えがあり満腹感を得やすいため、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。


毎食、片手一杯分の野菜料理をプラスすることを心がけましょう。


■食べてはいけない「だめなもの」ってあるの?注意すべき食品


「これを食べたらダメ」という絶対的な禁止食品はありませんが、血糖値への影響が大きいため、量や頻度に注意すべき食品はあります。「だめなもの」と捉えるとストレスになりますが、「工夫して付き合うもの」と考えることが大切です。


◎禁止な食べ物はないが「量と頻度」に注意

注意が必要なのは、砂糖を多く含むお菓子や清涼飲料水です。これらは吸収が非常に早く、食べた直後に血糖値を跳ね上がらせてしまう可能性があります。


また、揚げ物やスナック菓子も高カロリーで、少量でもエネルギーオーバーになりがちです。これらは「日常的に食べるもの」ではなく「特別な時の楽しみ」として位置づけ、量を決めたり、誰かとシェアしたりして賢く楽しみましょう。


◎果物やアルコールとの上手な付き合い方

果物はビタミンが豊富ですが、果糖という糖分を含んでいるため、食べ過ぎには注意が必要です。ジュースやドライフルーツではなく、生の果物を適量食べるようにしましょう。


また、アルコールは食欲を増進させるだけでなく、薬物療法中の場合は低血糖を引き起こすリスクもあります。禁酒が理想ですが、飲む場合は主治医に相談し、決められた適量を守り、必ず休肝日を設けてください。


■忙しい時の味方!コンビニで選ぶ「糖尿病の食事」とは


忙しい現代人にとってコンビニは欠かせない存在です。最近は健康志向の商品も増えており、選び方次第では糖尿病の食事療法に役立つメニューを見つけることができます。


◎おにぎりやパン単体は避けて「プラス一品」を

コンビニ食で避けたいのは、おにぎりだけ、パンだけといった炭水化物のみの食事です。これでは血糖値が急上昇してしまいます。


そこで、ゆで卵やサラダチキンなどの「タンパク質」、あるいは野菜サラダや海藻スープなどの「食物繊維」をプラス一品買い足してください。組み合わせることで栄養バランスが改善し、血糖値の上昇も緩やかになります。


◎栄養成分表示の「炭水化物(糖質)」をチェックする習慣

コンビニ商品の大きなメリットは、栄養成分が表示されていることです。カロリーだけでなく、「炭水化物(糖質)」の量を必ずチェックする癖をつけましょう。


同じような商品でも、糖質量には大きな差があることがあります。成分表示を見ることで、自分がどれだけの糖質を摂取しているかを把握できるようになり、自己管理のスキルが向上します。


■今日からできる!血糖値を上げにくい「食べ方」の工夫


何を食べるかと同じくらい、「どう食べるか」も重要です。同じメニューでも、食べる順番やスピードを変えるだけで、体への負担は変わります。


◎「ベジファースト」で血糖値の急上昇を抑える

食事の最初に野菜から食べる「ベジファースト」を実践しましょう。野菜、きのこ、海藻などを最初に胃に入れることで、食物繊維が壁となり、後から入ってくるご飯やパンなどの糖質の吸収をゆっくりにしてくれます。


この順番を守ることで、食後の高血糖(血糖値スパイク)を防ぐ効果が期待できます。


◎よく噛んでゆっくり食べることで満腹感を高める

早食いは、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまう原因となり、血糖値を急上昇させます。一口食べたら箸を置く、食材を大きめに切って噛む回数を増やすなどして、ゆっくり食べることを意識してください。


よく噛むことで消化も良くなり、少ない量でも満足感を得られるようになります。


■まとめ:毎日の食事を楽しみながら血糖コントロールを続けよう


糖尿病の食事療法は、我慢大会ではありません。長く続けるためには、自分の生活スタイルに合わせて無理なく工夫することが大切です。完璧を目指さず、たまにはコンビニを活用したり、食べる順番を意識したりすることから始めてみてください。


正しい知識を持って食事を選び、おいしく食べながら血糖コントロールを続けていきましょう。気になることがあれば、診察時に気軽にご相談ください。


わごうヶ丘クリニック
医師
三木 健司
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