大腸カメラ(大腸内視鏡検査)と聞くと、「大腸ポリープやがんを見つけるための検査」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。もちろん、ポリープやがんの早期発見は大腸カメラの大きな役割ですが、実はそれだけではありません。
大腸カメラによって発見できる病気は非常に多岐にわたっており、時には「なんとなく続く腹痛」や「原因不明の下痢」といった症状の裏に潜む重大な疾患が見つかることもあります。
今回は、大腸内視鏡検査を受けることでどのような病気がわかるのかをわかりやすく解説していきます。
目次
■大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で発見できる代表的な病気
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大腸ポリープ
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大腸がん
大腸検査で最も発見されやすいのは、大腸ポリープや大腸がんです。いずれも早期に見つけることで、よい経過が期待できます。
◎大腸ポリープ
大腸の粘膜にできる良性の隆起です。しかし、中にはがん化する可能性を持つポリープも存在します。大腸カメラで発見された場合、その場で切除できることが多く、将来的な大腸がん予防につながります。
自覚症状がないことが多いため、定期的な検査で早期発見を目指すことが重要です。
◎大腸がん(早期大腸がん・進行大腸がん)
日本人にとって身近ながんの一つです。早期の段階ではほとんど症状が現れず、進行して初めて腹痛や血便といった症状が出ることも珍しくありません。
大腸カメラでは、粘膜の異常を直接観察できるため、便潜血検査では見つからない早期がんを発見できるメリットがあります。
早期であれば内視鏡による切除が可能ですが、進行がんになると手術や抗がん剤治療が必要になるため、早期発見が非常に重要です。
■大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかるその他の病気
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虚血性大腸炎
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潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
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クローン病
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直腸粘膜脱症候群
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大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)・憩室炎(けいしつえん)
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大腸脂肪腫・大腸メラノーシス
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消化管神経内分泌腫瘍(NET)
大腸検査は、さまざまな大腸の病気を発見する役割も担っています。軽い症状しかない段階でも、検査によって詳しい状態を把握できます。
◎虚血性大腸炎
大腸への血流が悪化することで粘膜が傷害される病気です。高齢者だけでなく、便秘の強い若年層にも発症がみられます。突然の腹痛や下血(げけつ)がきっかけで発見されることが多く、大腸検査で腸のむくみや潰瘍を直接確認して診断します。
◎潰瘍性大腸炎
免疫異常が関与すると考えられている慢性炎症性疾患です。粘膜にびらんや潰瘍を形成し、下痢や血便を引き起こします。寛解と再燃を繰り返す特徴があり、発症から長期間が経過すると大腸がんのリスクも高まります。
◎クローン病
消化管全体に炎症を起こす病気で、若年層に多くみられます。大腸検査で特徴的な潰瘍や狭窄が見られます。慢性的な腹痛や下痢の原因が不明な場合は、クローン病を疑い精密検査を行いましょう。
◎直腸粘膜脱症候群
排便時の強いいきみを繰り返すことで、直腸の粘膜が肛門側に脱出する病気です。違和感や残便感、出血などの症状が現れることがあります。大腸検査で直腸の状態を確認し、直腸がんとの鑑別も含めて診断を行います。
◎大腸憩室症・憩室炎
大腸憩室症は、大腸の壁に袋状のくぼみ(憩室)ができる状態です。無症状のことも多いですが、憩室に炎症(憩室炎)が起こると強い腹痛や発熱、出血を引き起こすことがあります。大腸検査では、憩室の存在や炎症の有無を詳細に観察できます。
◎大腸脂肪腫・大腸メラノーシス
大腸脂肪腫は、大腸の粘膜下に発生する良性腫瘍です。自覚症状はほとんどなく、小さなうちは無症状のことが多いですが、サイズが大きくなると腸閉塞や出血の原因となることもあります。
大腸メラノーシスは、センナやアロエなどを含む刺激性便秘薬を長期間服用することで、腸の粘膜に色素沈着が起こる状態です。どちらも内視鏡検査でしか発見できないことが多いため、注意しましょう。
◎消化管神経内分泌腫瘍(NET)
直腸を中心に発生することが多い希少な腫瘍で、従来は「カルチノイド」と呼ばれていました。進行が非常にゆっくりなため、症状がほとんど現れず、便潜血検査でも見逃されやすいのが特徴です。内視鏡検査で発見できれば、早期の段階で適切な治療が可能になります。
■「まだ大丈夫」が危ない?大腸内視鏡検査を考えるタイミング
体に異変を感じていないと、「まだ大丈夫」と思いがちですが、大腸の病気は自覚症状が出にくいものも多く存在します。40歳を超えたら、症状がなくても一度は大腸検査を受けることが、自分の健康を守る第一歩です。
■まとめ
大腸検査は、大腸ポリープや大腸がんをはじめ、さまざまな病気の早期発見に役立つ重要な検査です。症状が出てからでは手遅れになることもあるため、症状がない段階で検査を受けることが何より大切です。
40歳を過ぎたら、リスク管理の一環として定期的な内視鏡検査を受け、自分自身の健康を守りましょう。