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胃が痛い…「胃痛」が続くときに考えられる病気・胃がんの可能性について


一時的な胃の痛みは、食べすぎやストレスなど誰にでも起こりうるものです。しかし、痛みが何日も続いたり、繰り返し起こったりする場合には、思わぬ病気が隠れていることもあります。


「胃がん」は初期にあまり症状がなかったり、他の病気と区別につきにくいことで見逃されやすく、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。


今回は、胃が痛い症状から考えられる病気について、わかりやすく解説します。症状だけで自己判断せず、早期発見・早期治療につなげるための“正しいよりどころ”として参考にしてください。


■その胃の痛み、本当にただの食べ過ぎですか?


胃痛は誰にでも起こりうる症状です。しかし、慢性的に続いたり、繰り返したりする場合は、単なる消化不良ではなく、何らかの病気のサインかもしれません。


◎チクチク・ズキズキ…気になる胃痛の正体とは

胃痛には鋭く刺すような痛み、ズキズキするような重たい痛み、食後や空腹時に現れる痛みなど、さまざまなタイプがあります。こうした痛みの種類やタイミングは、原因となる病気を見極める手がかりになります。


◎痛みの原因が「胃」じゃないこともある?

みぞおち付近の痛みを「胃の痛み」と思い込んでいるケースも少なくありません。実は、胆のう、膵臓、食道、虫垂など、胃の周辺にある臓器の異常が原因となることもあります。症状が曖昧な場合は自己判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。


■「胃が痛い」で始まる、こんな病気に注意


胃痛の背景には複数の疾患が考えられます。思い当たる症状やタイミングから、大まかな方向性を知っておくと受診時の説明にも役立ちます。


◎潰瘍って実は身近?放置すると穴が開くことも

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ピロリ菌感染や鎮痛薬の服用によって起こることが多く、胃の粘膜が深く傷ついた状態です。空腹時に痛みが出やすいのが特徴で、下血や吐血、貧血などが見られたらすぐに受診しましょう。


◎「食後の胸焼け」は逆流性食道炎かもしれません

胃酸が食道へ逆流して起こる逆流性食道炎は、食後の胸焼けや呑酸(酸っぱい液が上がってくる感覚)が主な症状です。肥満や姿勢の悪さ、ストレス、脂っこい食事が原因になることがあり、慢性化しやすいため、生活習慣の見直しと薬による治療が必要です。


◎検査で異常なし…でもつらい「機能性ディスペプシア」

胃痛や胃もたれ、早期満腹感などの症状が続くのに、検査では異常が見つからない場合、機能性ディスペプシアの可能性があります。ストレスや自律神経の乱れ、胃の動きの異常が影響していると考えられており、生活習慣の改善と薬物治療を組み合わせて対応します。


◎暴飲暴食・ストレスで急性胃炎になることも

急性胃炎は、暴飲暴食や強いストレス、薬の副作用などによって突然発症します。鋭い痛みや吐き気、下痢などの症状が出ることもあり、原因を取り除くと比較的早く回復することが多いですが、繰り返す場合は慢性化のリスクもあります。


◎魚を食べたあと激痛?アニサキス症かも

生魚を食べた後、数時間以内に激しい胃痛や吐き気が起こった場合は、アニサキスという寄生虫が原因の胃アニサキス症の可能性があります。内視鏡で寄生虫を除去すれば症状は改善しますが、予防には加熱や冷凍処理が必要です。


◎右側の痛みや背中に響く痛みは胆石・胆のう炎?

みぞおちから右上腹部、背中にかけて痛む場合は、胆石や胆のう炎が疑われます。脂っこい食事の後に発作的な痛みが起こりやすく、発熱や吐き気を伴うこともあります。


◎膵炎や虫垂炎が「胃の痛み」として現れることも

膵炎は、みぞおちや背中に響く強い痛みを伴い、アルコールの多飲や胆石が原因になります。また、虫垂炎(盲腸)も初期にはみぞおちが痛むことがあり、時間とともに右下腹部に痛みが移動します。


■見逃したくない「胃がん」のサイン


実際には症状だけで見分けることは困難です。だからこそ、症状が軽いうち・無いうちの検診と、気になるサインを放置しない姿勢が重要です。


◎早期の胃がんはほとんど症状が出ない

胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的な検診で早期発見することがとても重要です。


◎進行胃がんで見られる胃痛や消化不良の症状

進行した胃がんでは、胃の痛み、食欲不振、胃もたれ、黒い便、吐き気、貧血、体重減少などの症状が現れることがあります。


◎「胃痛=がん」とは限らないが、放置せず受診を

胃の痛みがあるからといって、必ずしもがんとは限りませんが、痛みが長く続いたり繰り返したりする場合は、一度精密検査を受けましょう。早期の胃がんであれば内視鏡で治療できるケースもあります。


■こんなときは病院へ。迷ったらチェックしたい症状


胃痛は“様子見”で済むこともありますが、医療の力が必要な局面があります。受診の目安を知っておくと迷いません。


◎「なんとなく続く胃痛」がサインかも

明確な原因が思い当たらないまま胃の痛みが続くようなら、機能性ディスペプシアや胃がんの初期症状の可能性もあります。軽く考えず、症状が続くときは早めに受診しましょう。


◎食後や空腹時に決まって痛むのは要注意

食後に痛む場合は胃がんや逆流性食道炎、空腹時に痛む場合は胃潰瘍や十二指腸潰瘍が考えられます。症状だけで病気を特定することはできませんが、痛みのタイミングも診断の重要なヒントになります。


◎黒い便・吐血・立ちくらみ…出血のサインです

胃や十二指腸からの出血があると、便が黒くなったり、吐血、貧血による立ちくらみや動悸が現れます。こうした症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。


◎市販薬で良くならないなら、検査のタイミング

市販の胃薬で一時的に症状が和らいでも、何度も痛みがぶり返すようなら、根本的な原因を調べる必要があります。正確な診断を受けましょう。


■胃痛の陰にある病気を見逃さないために


胃痛は、単なるストレスや食べ過ぎだけでなく、胃がんや潰瘍、逆流性食道炎、胆石症など多くの病気が関係している可能性があります。


特に痛みが続く、繰り返す、他の症状を伴う場合は、早めの受診と検査が重要です。消化器系の病気は早期に発見できれば、より少ない負担で治療できるケースも少なくありません。違和感を感じたら放置せず、まずはご相談ください。


わごうヶ丘クリニック
医師
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