
胃カメラを受けるとき、多くの方がまず迷うのが「口からか、鼻からか」です。嘔吐反射の出やすさや痛みの感じ方、検査後の過ごし方は、検査方法によっても少しずつ違います。
今回は、経口内視鏡(口から)と経鼻内視鏡(鼻から)の違いをわかりやすく解説します。それぞれの特徴を知ったうえで、医師と相談しながら、安心して検査に臨みましょう。
目次
■胃カメラは「口から」と「鼻から」でどう違う?
経口内視鏡は口から、経鼻内視鏡は鼻からスコープを入れて、食道・胃・十二指腸の粘膜を観察します。どちらも基本的な流れは似ていますが、使うスコープの太さや通るルートが異なるため、感じ方や向き不向きが変わります。
◎そもそも胃カメラ検査って何のためにやるの?
目的は、食道がん・胃がん・胃潰瘍・ポリープなどの早期発見と正確な診断です。疑わしい部位があれば、その場で組織を一部採取して病理検査に回すこともできます。粘膜には痛みを感じる神経が乏しいため、組織採取そのものの痛みは多くの場合ほとんどありません。
◎鼻からと口から、どっちが一般的?
精密に観察したい、治療器具を併用する可能性がある、といったケースでは経口が選ばれやすく、嘔吐反射が強い人や検査への不安が大きい人には、経鼻が提案されることが増えています。最近は細径でも高画質な機種が普及し、経鼻でも十分に観察できる場面が広がっています。
■正直、どっちが楽?胃カメラの苦しさ・痛みを比較
楽さの感じ方は「嘔吐反射」と「挿入時の違和感」に左右されます。経鼻は舌の付け根を避けられるため、むかつき感が少なく、検査中に会話できる安心感もあります。
◎「オエッ」となりやすいのはどっち?
口から内視鏡を挿入する場合、スコープが舌の付け根や喉に触れることで嘔吐反射が起きやすくなります。一方、鼻から挿入する経鼻内視鏡は喉に触れずにスムーズに進むため、「オエッ」となる反射が起きにくいとされています。
◎痛みや不快感が少ないのは?
鼻からの検査では、スコープ自体が細く設計されているため、のどや胸への圧迫感が軽減されます。また口がふさがれないため、検査中も呼吸がしやすく、医師とのコミュニケーションも可能です。
■「口から」と「鼻から」それぞれのメリット・注意点
どちらの検査方法にもメリット・デメリットが存在し、一概に「こっちが良い」とは言えません。自分に合った方法を選ぶためには、それぞれの特長をしっかり把握しておくことが重要です。
◎高画質&しっかり診たいなら口から
経口内視鏡はスコープの太さに余裕がある分、搭載されるカメラも高性能な場合が多いです。そのため、より詳細に観察する必要がある場合や、病変が疑われていて正確な診断が求められる場面では口からの検査が適しています。また、内視鏡治療が必要なケースでも経口が選ばれることが一般的です。
◎楽に受けたい方は鼻からが向いている
経鼻内視鏡は、嘔吐反射が起きにくく呼吸が楽にできるため、「できるだけ楽に検査を受けたい」という方には適しています。検査中に会話できるのも安心材料のひとつです。不安が強い方や過去に経口でつらい思いをした方に向いています。
◎鼻の構造によっては鼻からできないことも
経鼻内視鏡はすべての人に適しているわけではありません。鼻腔が狭かったり、鼻中隔が曲がっていたりする方はスコープが通らないことがあります。このような場合は無理に続行せず、経口内視鏡に切り替えるケースが一般的です。
■胃カメラの費用、鼻と口で違いはある?
鼻からでも口からでも保険診療の範囲内であれば大きな差はありませんが、追加の処置や鎮静剤の有無によって金額が変動します。診察料や採血などは別計算になるため、正確な見積もりは受診先でご確認ください。
◎保険適用時の目安料金をチェック
一般的に、胃カメラ検査の自己負担額は3割負担でおよそ4,000〜6,000円ほどです。組織検査や鎮静剤を併用した場合には、追加費用がかかることがあります。鼻と口のどちらを選んでも、検査そのものの料金に大きな違いはありません。
◎費用の差より「検査の質」が大事
つらさは機種の新しさやスコープ径だけでなく、担当医の技量やチームの連携によっても大きく左右されます。費用のわずかな差よりも、内視鏡に熟達した医師がいるか、鎮静の選択肢があるか、自分に合う方法を柔軟に提案してくれるか、といった点を重視するとよいでしょう。
■経鼻・経口どちらを選ぶ?自分に合った検査方法を見つけよう
胃カメラ検査は、身体的にも精神的にも少なからず負担を感じるものです。どちらを選ぶ場合でも、当日の流れや注意点、鎮静の要否、帰宅後の過ごし方まで、事前に医師と相談しておくと不安が減り、検査もスムーズです。
◎嘔吐反射が強い人や検査への不安がある人は経鼻がおすすめ
過去に経口検査でつらい経験をした方や、そもそも胃カメラに強い不安がある方には、比較的負担の少ない経鼻内視鏡がおすすめです。検査中も意識がはっきりしていて、呼吸や会話もできるため、安心感を得やすいという特長があります。
◎精密な検査が必要な場合や治療が目的なら経口が適している
病変が疑われている、または早期がんの可能性があるなど、精密な観察が必要な場合には高画質な経口内視鏡が選ばれます。処置を伴う内視鏡治療を同時に行うこともあるため、経口での検査が基本になるケースもあります。
◎どちらを選んでも医師との相談が大切
どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、自己判断せず、医師とよく相談して決めることが大切です。検査への不安や過去の経験、体調、持病などをふまえた上で、自分に合った方法を選びましょう。
■当院では経口・経鼻どちらの胃カメラ検査にも対応しています
胃カメラは「口から(経口)」と「鼻から(経鼻)」のどちらにも長所があります。嘔吐反射が強い方や検査中の負担をできるだけ抑えたい方には、細いスコープで「オエッ」となりにくい経鼻をご提案することがあります。一方で、より広い視野や高精細な観察、処置を見込む検査では経口が適しています。
当院では経口・経鼻の両方に対応しています。初めてで不安がある方、過去の検査がつらかった方も、遠慮なくご希望をお伝えください。
