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湿疹とかぶれって何が違う? かゆい原因は?


ふとした時に肌がかゆくなったり、赤くなったりすることはありませんか?「これって湿疹?それともかぶれ?」と迷ってしまうかもしれません。この2つには医学的な関係性と明確な違いがあります。


今回は、誰もが一度は経験する肌トラブルである「湿疹」と「かぶれ」の原因や違いについて、わかりやすく解説します。


■似てるけど違う?「湿疹」と「かぶれ」の関係


皮膚のトラブルとしてよく耳にするのは「湿疹」と「かぶれ」です。同じような赤みやかゆみを伴うため混同しやすいですが、医学的にはどのように使い分けられているのでしょうか。まずはその基本的な関係性から見ていきましょう。


◎同じ仲間なの?実は「かぶれ」も「湿疹」のひとつ

結論から言うと、「かぶれ」は「湿疹」という大きなグループの中に含まれる皮膚の病気のひとつです。


皮膚科では、かぶれのことを正式には「接触皮膚炎」と呼びます。つまり、かぶれは湿疹の一種なので、広い意味では同じ仲間と言えます。


しかし一般的には、特定の原因物質に触れて起こるものを「かぶれ」、それ以外の原因が特定しにくい幅広い皮膚の炎症を「湿疹」と呼び分けることがほとんどです。


■大きな違いは「原因がはっきりしているか」


両者の大きな違いは、原因が特定できるかどうかです。「新しい時計をつけたら手首が赤くなった」「特定の植物に触れたら痒くなった」のように、何が原因で症状が出たかが明らかな場合は「かぶれ(接触皮膚炎)」と診断されます。


一方、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こり、原因がひとつに特定しにくい場合は「湿疹」と診断される傾向があります。


■なんだか痒い!原因がわからないときは「湿疹」かも


より広い意味での「湿疹」にはどのような特徴があるのでしょうか。湿疹は、皮膚の表層(表皮や真皮の上層)に起こる炎症の総称で、その症状や原因は多岐にわたります。


◎赤み、ブツブツ、ジュクジュク…コロコロ変わる症状

湿疹の症状は、時間の経過とともに見た目がコロコロ変化するのが特徴です。最初はかゆみから始まり、どんどん症状が変わっていきます。


  1. 初期: かゆみのある「赤み」や、小さな「ブツブツ」が現れる

  2. 進行期: 炎症が進み、小さな「水ぶくれ」ができることも

  3. 悪化時: 掻き壊してしまうと「ジュクジュク」した状態になる

  4. 回復期: やがて乾燥して「かさぶた」ができ、皮がむけて治っていく


これらの状態が混ざって同時に見えることも多く、もし長引いて慢性化してしまうと、皮膚が厚く硬くなり、ゴワゴワになってしまうこともあります。


◎複雑な原因?「外からの刺激」と「体調」がカギ

湿疹の原因はひとつだけとは限りません。


  • 「外からの刺激」
    洗剤や薬剤、紫外線、汗、乾燥、摩擦など


  • 「内側からの要因」
    健康状態やストレス、アレルギー体質、皮膚のバリア機能の低下


これらが複雑に組み合わさって発症します。健康な肌なら問題ない程度のわずかな刺激でも、体調や肌の状態によっては湿疹を引き起こす原因となってしまうのです。


■かぶれ(接触皮膚炎)の特徴:原因と症状


湿疹の中でも原因がはっきりしている「かぶれ(接触皮膚炎)」について詳しく見ていきましょう。何らかの物質が直接肌に触れることで炎症が起こるのが特徴です。


◎かぶれの症状は「触れた場所」に出る

かぶれの症状は、原因となる物質が触れた部分にだけ現れるのが原則です。


例えば、ネックレスが当たっていた首のラインにくっきりと赤みが出たり、湿布を貼っていた四角い形のまま皮膚が荒れたりします。原因物質が触れた場所と、そうでない場所の境界線がはっきりしていることが多いのも特徴といえます。強いかゆみに加え、ヒリヒリとした痛みや熱感を伴うことも少なくありません。


◎かぶれの原因は2タイプ(刺激性とアレルギー性)

かぶれの原因は大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「刺激性接触皮膚炎」で、肌のバリア機能を超えるような強い刺激(強力な洗剤、化学薬品、植物の毒など)に触れることで、誰にでも起こりうるものです。


もうひとつは「アレルギー性接触皮膚炎」で、特定の物質(金属アクセサリー、化粧品の特定成分、植物など)に対してアレルギーを持っている人だけに起こります。アレルギー性の場合は、触れてからすぐではなく、半日〜数日経ってから症状が現れることが多いのも特徴です。


■かゆみの原因を知ることが、健やかな肌への第一歩


「湿疹」と「かぶれ」は、どちらも皮膚の炎症ですが、原因が特定できるかどうかに大きな違いがあります。


もし肌トラブルが起きたら、まずは直前に触れたものや、最近の体調を振り返ってみてください。「新しい化粧品を使ったからかも」「最近寝不足が続いていたな」など、原因に気づければ、それを取り除くことで悪化を防げるかもしれません。


自分の肌からのサインを見逃さず、原因に応じた対策を心がけましょう。気になる場合は放置せず、気軽にご相談ください。


わごうヶ丘クリニック
医師
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