蕁麻疹とは、蚊に刺されたときのように皮膚が赤く腫れ、かゆみを伴うことがある疾患です。症状は突然現れ、一瞬で治ることもあれば、何度も繰り返すこともあります。蕁麻疹が発生する原因は様々です。今回は、蕁麻疹の原因や治療法、そして何科を受診するべきか分かりやすく説明します。
目次
■蕁麻疹とは
蕁麻疹は、皮膚が突然赤く盛り上がる症状です。この状態は痒みやチクチクする感じ、焼けるような感じを伴うこともあります。特徴としては、一度出現した赤い腫れ(膨疹)が数十分から数時間以内に消えることです。
半日から1日くらい続く場合もありますが、激しい場合は次々と新しい皮疹が出現し続けることもあります。膨疹の大きさは小さいものから大きいものまであり、形も円形、楕円形、線状、花びら状、地図状など様々です。これらの形自体には特に意味はありません。
■蕁麻疹の原因
蕁麻疹は、皮膚にある細胞から化学物質が分泌されることで発症する痒みやむくみを伴う皮膚の症状です。その物質が神経や血管を刺激することで、皮膚に赤い発疹や腫れが生じます。
蕁麻疹の原因としては、大きく分けてアレルギー性と非アレルギー性の二種類があります。
蕁麻疹の原因については、以前のブログで詳しくご紹介していますので、併せてご確認ください。
◎アレルギー性蕁麻疹
特定の物質(アレルゲン)に対するアレルギー反応が原因で起こります。食べ物(青魚やエビ、卵、牛乳など)が原因となることがほとんどです。しかし、植物や薬もアレルゲンになることがあるため注意しましょう。
アレルギー反応は、物質を摂取もしくは接触してからすぐに現れることもあれば、数時間後に出ることもあります。
◎非アレルギー性蕁麻疹
アレルギー反応とは関係なく、さまざまな物理的な刺激によって発症します。たとえば、皮膚を引っ掻いたり、急な温度変化や日光などが刺激となったり、汗をかいたりすることが要因となることがあります。ただし、特定の原因が分からない場合がほとんどです。
■蕁麻疹が治らない理由
食物アレルギーや汗、寒さなどの刺激が原因で発生する蕁麻疹は、原因を避ければ新しい発疹が出ることは通常ありません。しかし、原因不明で繰り返し発生する蕁麻疹もあります。
体内には、アレルギー反応を引き起こす細胞があり、それが活性化すると、わずかな刺激で蕁麻疹が出ることがあります。
たとえば、疲れやストレス、風邪などで不安定になり、香辛料を食べたり、衣類で体を締めつけたりするだけで化学物質が放出されてしまうことで湿疹が出てしまうのです。この場合は、皮膚以外に症状は現れませんが、繰り返し蕁麻疹が出ることがよくあります。
また、一度出現した皮疹が何日も残る場合や、茶色い色がついたり、表面がガサガサ、ポロポロするようであれば、蕁麻疹以外の病気を疑いましょう。
■ストレスと蕁麻疹の関係
心身のストレスが一定の限度を超えると、病気や症状の原因になったり、悪化させることがあります。蕁麻疹もそのひとつで、慢性的に症状が繰り返される場合、ストレスが症状の悪化要因の一つになっていることがあります。
ストレスが原因の場合、自分では気づかないことが多く、職場や家庭の環境が変わることで蕁麻疹の発症や改善が見られることもあります。蕁麻疹が頻繁に現れたり、症状が悪化したりする場合には、無意識のうちに感じているストレスが原因かもしれません。
■蕁麻疹の治療法
蕁麻疹の治療は原因を取り除くことと、適切な薬を使うことがポイントです。
◎原因を避ける
蕁麻疹の原因を見つけて、それを取り除くか避けることが大切です。
◎抗アレルギー薬
症状を抑えるために薬を使います。蕁麻疹の多くは体内のヒスタミンという物質が血管や神経に影響を与えることが原因です。
この働きを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が使われます。外用薬(塗り薬)は痒みを軽減する程度で、改善が期待できるものとしては内服薬や注射薬があります。
◎その他
漢方薬や、免疫を調整する薬が補助的に使われることがあります。生活面では、疲れやストレスをためないようにし、魚介類や肉類は新鮮なものを選び、防腐剤や着色料が含まれる食品を控えめにすることが重要です。
■蕁麻疹があるとき受診すべき科
皮膚症状のみの場合は皮膚科を受診しましょう。症状が重篤でなくとも、症状が長引く場合や繰り返し起こる場合は、相談して適切な治療を受けることを受けてください。
ただし、皮膚以外の症状を伴う場合(例えば、呼吸困難、喉の腫れ、全身の症状など)には、救急外来や内科を受診しましょう。
■まとめ
蕁麻疹は、原因が特定できなくても治療を受けることで治ることがほとんどです。しかし、治療にかかる期間は個人によって異なり、数日で治る場合もあれば、数年かかる場合もあります。
また、治療を始めるのが遅れると、その分治療期間が長くなる可能性があると報告されています。そのため、蕁麻疹の症状が出たら早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けることが大切です。蕁麻疹が気になる方は我慢せず、まずはご相談ください。