ブログ BLOG

会社健診で便潜血陽性、症状なし・痔の心当たりでもいつ受診?

会社健診で便潜血陽性、症状なし・痔の心当たりでもいつ受診?

「要精密検査」の通知を手にしたら


健診結果に「便潜血陽性」とあっても、自覚症状はない。排便後に紙へ血が付くこともあるので、痔のせいだろうと考えて数週間たった方もいるでしょう。陽性は大腸がんの確定ではありません。それでも、痔と決めつけず、再検だけで済ませずに医師へ相談したほうがよい理由があります。この記事では、受診時期の考え方と、大腸内視鏡の準備・時間・費用を、仕事の段取りに使える形でまとめました。


この記事の要点まとめ


  • 便潜血陽性は病名を示すものではなく、痔の心当たりや症状の有無だけでは出血源を判断できません。
  • 1回でも陽性なら再検だけで済ませず、健診結果や服薬情報を用意して医師へ相談しましょう。
  • 内視鏡の準備や滞在時間、結果説明も考慮し、勤務予定に合わせて日程を調整できます。

便潜血陽性はがんの確定ではない――痔でも調べる理由


便潜血検査が示すのは便に混じった血液


健診の便潜血検査で調べているのは、便に目に見えない血液が混じっているかどうかです。陽性は「消化管のどこかで出血している可能性がある」という合図であって、病名を示す判定ではありません。原因は大腸ポリープや大腸がんに限らず、痔や腸の炎症などもあり得ます1。早い段階のポリープやがんは自覚症状が乏しいことが多いので、症状がないからといって調べなくてよいとはいえません。


「痔だから大丈夫」と決めつけられない理由


排便後に紙へ血が付いた経験があると、陽性も痔のせいだと考えたくなるものです。ただ、この検査でわかるのは血液の有無だけ。その血がどこから出たのかまでは特定できません。痔とポリープが同時に見つかることもあります。また、検査結果は年齢や服薬などさまざまな要因の影響を受けることがわかっています2。痔の心当たりは診察時に伝える材料にはなりますが、出血の出どころを確かめる代わりにはなりません。なお、当院では痔の治療は行っていないため、治療が必要な場合は対応できる医療機関をご案内しています。


再検で陰性なら精密検査は不要、という誤解


「もう一度採便して陰性なら、精密検査は見送れるのでは」と考える方は少なくありません。しかし、病変からの出血は毎日続くとは限らず、出血のない日の便では陰性になることがあります。便潜血検査には見落としも、病変がないのに陽性になることもあり、精度は受ける人の条件によって変わると報告されています2。後から陰性が出ても、最初の陽性が取り消されるわけではありません。再検を考える前に、まず医師へ相談しましょう。


便潜血陽性を放置しないための受診時期と判断

便潜血陽性を放置しないための受診時期と判断

数週間たっていても、まず健診結果を持って相談


陽性の通知から大腸内視鏡を受けるまでの期間が長いほど、大腸がんが進んだ段階で見つかる傾向があったとする研究があります3。いつまでに受けるべきかという一律の期限はありません。それでも、通知から数週間たっていても、相談を始めるのに遅いということはありません。結果通知の用紙と、服用中の薬がわかるお薬手帳を用意して、予約の連絡から始めてください。


検査予約が先になるときに医療機関へ伝えること


繁忙期で検査日が先になりそうなときは、その事情も遠慮せず伝えてください。陽性になった時期、症状の有無、血液をさらさらにする薬(抗血栓薬)を飲んでいるかどうかは、検査の準備や急ぎ具合の判断に関わります。まず外来で診察だけを受け、検査日は勤務表を見ながら別に決める、という進め方も相談できます。予約までの段取りを医療機関側が支えると精密検査の受診につながりやすいことは、海外の比較試験でも示されています4。


大量の出血やふらつきがある場合は待たずに連絡


ここまでは、症状がない方を想定した話です。便器が赤く染まるほどの出血、立ちくらみやふらつき、強い腹痛、黒っぽい便が続くといった症状がある場合は、健診後の予約を待たずに医療機関へ連絡してください。貧血や別の病気が隠れていることがあり、早めの診察が必要になります1。


大腸内視鏡の準備・時間・費用を仕事の予定に落とし込む

大腸内視鏡の準備・時間・費用を仕事の予定に落とし込む

前日の食事と当日の下剤・院内滞在を確認する


前日は消化のよい食事にし、夕食を早めに済ませるのが一般的です。当日は腸管洗浄剤(下剤)を1.5〜2L程度、数時間かけて飲み、便が透明に近づいてから検査に進みます。下剤を自宅で飲むか院内で飲むか、検査後の説明まで含めて何時間かかるかは医療機関によって異なるため、予約時に確かめてください。目安として半日から1日空けておくと、予定を組み立てやすくなります。鎮静剤を使う場合は当日の運転ができないので、帰りの手段も決めておきましょう。


保険診療の費用が変わる条件


健診で陽性となった後の診察や大腸内視鏡は、通常は保険診療です。3割負担の場合、観察のみなら5千〜1万円程度がひとつの目安で、組織採取やポリープ切除を伴う場合は処置ごとに費用が異なります。鎮静剤の使用、病理検査の数、事前の血液検査の有無でも金額は変わります。記載した金額は一般的な相場であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。


出血・穿孔のリスクと、検査が難しい場合の相談


大腸内視鏡では、まれに腸からの出血や穿孔(腸に穴があくこと)が起こることがあります。ポリープ切除後は数日たってから出血する場合もあるため、帰宅後の食事や運動の制限について説明を受けておきましょう1。持病などで内視鏡が難しい場合は、大腸CT検査などほかの方法を相談できます。ただし、こうした検査では組織の採取や切除ができず、異常があれば改めて内視鏡が必要になります。


ポリープなどが見つかった後の予定も聞いておく


採取した組織は病理検査に回され、結果の説明は後日になるのが一般的です。ポリープの大きさなどによっては、別の日の治療やほかの医療機関での処置、定期的な経過観察を提案されることもあります1。休暇は検査日だけでなく、結果説明のための通院も見込んでおくと慌てずに済みます。


東郷町で精密検査を相談するときの確認事項


勤務前後の通院と検査日の確保を分けて考える


東郷町にお住まいで、日中は現場を離れにくい方は、「診察に行く日」と「検査を受ける日」を分けて考えると予定を立てやすくなります。初診は勤務前後や休日に、検査は下剤の時間も含めて休みの日に、結果説明はさらに別の日に。合計で3回程度の通院になる場合もあります。なお、当院では大腸内視鏡と胃内視鏡の同日検査は行っていません。両方を希望される場合は、日を分けて予定を組むことになります。


問い合わせでは健診結果と希望日程を伝える


予約や問い合わせの際は、陽性の通知が届いた時期、2回の採便のうち何回陽性だったか、紙に付く出血などの症状、服用中の薬、休める曜日を伝えると話が早く進みます。大腸内視鏡を実施しているか、混み具合によっては他院を紹介してもらえるかも、この段階で確かめておきましょう。受診先と日程が早く決まるほど、精密検査までの間隔を短くしやすくなります4。


わごうヶ丘クリニックの公式案内で確認してから予約へ


当院の外来診療は原則予約制で、ネット予約や電話による事前予約をお願いしています。臨時休診などのお知らせは、当院公式LINEでも配信しています。診療内容や検査の案内を公式サイトで確認したうえで、まだ迷っている段階でも「健診で陽性が出たので相談したい」と問い合わせてください。休める日を2〜3候補カレンダーに書き出してから連絡すると、その場で日程を決めやすくなります。


よくある質問


Q. 検便の「潜血」とは何ですか?便潜血検査と検便は違うのですか?


A. 潜血とは、目では見えないほどわずかな血液が便に混じっている状態を指します。「検便」は寄生虫や細菌などを調べる便の検査全般を指す言葉で、健診の大腸がん検診で行う検便は、主に血液の有無を調べる便潜血検査のことです。


Q. 便潜血検査で陽性になる確率はどのくらいですか?


A. 健診で陽性となっても大腸がんが見つかるとは限らず、大腸ポリープが見つかることもあります。具体的な割合は健診の対象者などによって異なります。がんとは限らないから受けなくてよいという意味ではなく、陽性の方が精密検査で確認することで、早い段階の病変を見つける機会になります1。


Q. 2回のうち1回だけ陽性でした。それでも精密検査が必要ですか?


A. 1回でも陽性であれば、精密検査の対象とするのが一般的な考え方です。病変からの出血は毎日続くとは限らないため、陰性の回があっても出血の原因を否定することはできません2。


Q. 便の検査や大腸カメラにどうしても抵抗があります。どうしたらよいですか?


A. 抵抗を感じる理由(下剤、痛み、恥ずかしさ、時間など)をそのまま医師に伝えてください。鎮静剤の使用や、大腸CT検査などほかの方法を相談できる場合もあります。ただし、ほかの方法では組織の採取ができない点も踏まえて選ぶことになります。


Q. 40代の大腸カメラは何年おきに受ければよいですか?


A. 一律の間隔はなく、前回の検査結果やポリープ切除の有無、家族歴によって変わります。異常がなかった場合は数年あけることもありますが、ポリープを切除した方は短めの間隔を勧められることがあります。検査後の説明で、次回の目安を医師に確認しておきましょう。


参考文献


1. 日本消化器病学会. 消化管・肝胆膵疾患に関する学術情報. https://www.jsge.or.jp/

2. de Klerk CM, Vendrig LM, Bossuyt PM, et al. Participant-Related Risk Factors for False-Positive and False-Negative Fecal Immunochemical Tests in Colorectal Cancer Screening: Systematic Review and Meta-Analysis. The American Journal of Gastroenterology. 2018. PMID: 30158713 / DOI: 10.1038/s41395-018-0212-7

3. Forbes N, Hilsden RJ, Martel M, et al. Association Between Time to Colonoscopy After Positive Fecal Testing and Colorectal Cancer Outcomes: A Systematic Review. Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2021. PMID: 33010414 / DOI: 10.1016/j.cgh.2020.09.048

4. Ganguly AP, O'Leary MC, Crockett SD, et al. Time to Follow-Up Colonoscopy After Positive Fecal Immunochemical Test with Centralized Patient Navigation: A Randomized Clinical Trial. Journal of General Internal Medicine. 2026. PMID: 41639370 / DOI: 10.1007/s11606-025-10151-2


三木 健司

医師


わごうヶ丘クリニック

院長

三木 健司

▶ 監修者プロフィール

経歴
1993年
愛知医科大学卒業
愛知医大第一内科
袋井市立袋井市民病院
聖霊病院 
内科・消化器内科
聖霊病院 医務局長
三九朗病院 内科・消化器内科
2016年
わごうヶ丘クリニック 院長
資格・所属学会
日本内科学会・認定医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本人間ドック学会・認定医
日本医師会・認定健康スポーツ医
日本医師会・認定産業医
日本スポーツ協会・スポーツドクター
NPO法人日医ジョガーズ連盟(ランニングドクター)
点滴療法研究会